2004.12.09

法人の経営者は健康保険で労災適用の場合がある?

法人の経営者や役員は健康保険加入が義務となっていますが、健康保険では「業務外の傷病」を対象としているので、労災の場合は保険がききません。一方で、経営者は労災保険の加入は、特別加入する場合を除き、認められていません。

ですので、法人の経営者などが労災にあった場合、通常は社会保険の適用がない(医療費は全額自己負担)という重大な問題があります。それではさすがにまずいと思ったのか、平成15年7月に厚生労働省から以下のような通達が出ています。

・被保険者が5人未満の法人の代表者等については、労災による傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とする。

・法人の代表者等が労災保険に特別加入している場合は、労災保険で救済されるので、原則通り健康保険では面倒見ない。

・健康保険で医療費の面倒は見るが、傷病手当金までは支給しない。

まあ、このような通達はありがたいことだとは思いますが、そもそも法人の経営者が健康保険を強制加入、労災保険は原則対象外としていること自体が問題と思うのですが…。

被保険者が4人の場合と5人の場合で扱いがコロッと変わっていいはずがありません。

通達などという小手先の対応ではなく、経営者の傷病の救済に漏れがないよう、きちんと法律で制度設計すべきだと私は思います。

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2004.10.28

任意継続の落とし穴

健康保険に任意継続することで、国民健康保険に加入する場合より保険料が安くなる場合がありますので、検討してみましょう。

任意継続の手続きは、退職する日から20日以内にしなければいけません。早めに手続きしましょう。

と、ここまではどの解説書に書いてあるのですが、独立する場合に重要なことがどの解説書も抜け落ちています。健康保険には落とし穴があるのです。

国民健康保険の場合は、「業務上」か「業務外」かに関係なく、傷病であれば保険がききます。

でも、健康保険で面倒見てくれるのは、「業務外の傷病」だけです。「業務上」の傷病は、「労災保険」で面倒見てくれるので、健康保険では対象外です。あくまでもサラリーマンのための保険として制度が出来ているのです。

独立すると原則として労災保険はありませんから、健康保険を任意継続すると「業務上」の傷病はカバーできなくなります。もし独立後、仕事中に事故などにあっても、健康保険の任意継続の場合は、すべて自己負担になってしまうのです。

ですので、任意継続する場合は、民間の傷害保険に入るなどして、万が一の事故に備える必要がありますので注意しましょう。

「任意継続の方が保険料がちょっと安くなる」ぐらいの理由だけで判断してはいけません。民間の傷害保険に入るコストなども勘案して、トータルでメリットがあるかどうかを判断しましょう。

一応、一定の要件をクリアすれば個人事業主であっても労災保険に加入する方法もあります。

サラリーマンの保険の仕組みを独立してから継続するのことになりますので、制度間の違いからくる歪みには注意しておきましょう。

でもなぜどの解説書にもこんな大事なことが書いていないんでしょうね?いろんなサイトや本を調べましたがどこにも出ていません。念のため社会保険事務所に確認したら「健康保険ですから業務上の傷病はダメです」とあっさりと言われてしまいました。

やっぱり独立したい人の立場になりきって解説するというのはその立場にならないとできないもんなんですね。

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2004.10.25

退職後も健康保険を継続する

個人事業として独立すると、医療保険は国民健康保険に加入するとご説明してきましたが、一定の要件で、サラリーマン時代に入っていた健康保険にそのまま加入する制度があります。

それが「任意継続被保険者制度」です。これは、健康保険の加入期間が継続して2ヶ月以上あった人は、会社を辞めた後も、2年間は引き続きその健康保険に加入できます。

健康保険から受けられる給付は、一般の加入者と一緒ですので、会社を辞めた後でも支給要件に該当すれば、傷病手当金や出産手当金がもらえます。

任意継続被保険者の保険料は一般の被保険者と同じで、政府管掌の場合給料の8.2%ですが、会社の半分負担がなくなり、すべて自己負担となりますので、2倍になると考えていただければよいでしょう。(会社の半分負担は結局は給料に跳ね返ってくるので長い目で見れば同じなのですが)

健康保険に引き続き加入することは、医療費の自己負担が健康保険も国民健康保険も3割になったので、給付面ではあまり大きなメリットはなくなりましたが、保険料の面では、特に独立初年度ではメリットがあります。

前回ご説明したとおり、国民健康保険は、前年度の所得に基づいて保険料が計算されますので、サラリーマン時代に給料が高いと、独立していくら収入が減ったとしても、独立初年度はサラリーマンの給料が保険料の計算基準になってしまいます。

ところが任意継続被保険者の場合、会社を辞めたときの給料(標準報酬月額)か、保険の全加入者の平均の標準報酬月額の低いほうが基準になります。政府管掌であれば、現在28万円として計算されますので、これより給料が高かった人は、任意継続被保険者となった方が国民健康保険より安くなる可能性が高いです。

健康保険組合がある場合は、その組合の全加入者の平均となりますので、給与水準や組合員の平均年齢によってまちまちです。

また、任意継続の場合は扶養家族もそのまま被扶養者として保険料を払わなくてもいいので、奥さんやお子さんなど扶養家族が多い場合にも有利となる可能性が高いです。

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2004.10.22

医療保険の保険料②

奥さんやお子さんを扶養している場合、健康保険であれば、扶養家族の保険料はかかりません。お子さんが何人いても(たとえ10人いたとしても!)、払う保険料は本人の給料の8.2%のみです。給料が同じであれば、単身者と大家族であっても基本的に払う保険料は同じということになります。

健康保険の被保険者はこの場合世帯主のみで、あとの家族は「被扶養者」です。

ところが国民健康保険では、家族一人一人が「被保険者」です。生まれたばかりの赤ちゃんも立派な被保険者です。ですので、保険料の基準で均等割(加入者1人当たりいくらとして算定)のウエイトが高い市町村の場合、家族の人数が多いとそれだけ保険料は高くなってしまいます。

ところで、市町村により保険料が異なるといっても、どれだけ異なるのでしょうか?

介護保険料も含めた全国平均は月8万円ぐらいですが、最高は北海道・羅臼町の約11万7千円で、最低は鹿児島県・十島村の約1万9千円とのことです。実に6.1倍の開きがあります。市町村によってこれだけ差があるのですから、独立開業する際には保険料はどれぐらいになるか、役場に確認しておいたほうがいいでしょう。

で、国民健康保険料は、前年の所得などを元に計算されます。これは独立開業したばかりでまだ収入が少ない段階ではかなり痛いです。サラリーマン時代の給料が高額であるほど、独立して収入が少なくなったのに高額な給料の時代の計算で保険料がかかってきます。

ちなみにこれは住民税も同じで、やはり前年の所得によって計算されます。

このように独立初年度はかなり負担が大きくなる可能性はあるということは覚悟しておいたほうがいいでしょう。
いままで安月給で独立開業して収入が増えるという人にはあまり関係ありませんが。

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2004.10.19

医療保険の保険料①

健康保険から国民健康保険に変わった場合、保険給付の面では、医者にかかったときの自己負担が同じ3割になったことで、傷病手当金など以外の面ではほとんど差がなくなりました。

では支払う保険料はどう違うのでしょうか? 

健康保険の場合、給料の8.2%で、これを会社と各個人(被保険者)が折半して負担しています。これに対し、国民健康保険では、運営主体が基本的に市町村であるため、市町村ごとに保険料の基準が異なっており、一概には言えません。(なお、健康保険も国民健康保険も、運営主体が組合の場合がありますが、組合それぞれで事情が異なるため、ここでは説明を省略いたします。)

国民健康保険の場合は、次の基準で、各市町村が徴収しています。
・所得割(その世帯の所得に応じて算定)
・資産割(その世帯の資産に応じて算定)
・均等割(加入者1人当たりいくらとして算定)
・平等割(1世帯あたりいくらとして算定)

市町村によって、この4つの基準すべてを採用している場合もあれば、このうちのいくつかだけを採用している場合もあります。

で、健康保険と比べて国民健康保険の保険料が高いのか安いのかというと、市町村によって基準が異なっているため、一概には判断できません。

さらに、健康保険には被保険者(世帯主)に扶養される家族は保険料を払わなくていいのに対し、国民健康保険では、「被扶養者」という概念がありません。

扶養家族がいるかどうかで、健康保険と国民健康保険で、収めるべき保険料がどう変わるかにかなり影響してきます。

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2004.10.16

傷病手当金と出産手当金

今回は国民健康保険と健康保険の給付面の違いについてです。

健康保険では、病気やケガで療養するために会社を一定以上休まなければならなくなった場合は、給料の6割を支給してくれる「傷病手当金」というのがあります。

これは療養が長期間になっても1年6ヶ月まで支給してくれるので、収入の確保という点で大変助かります。

この傷病手当金という制度が国民健康保険では基本的にありません。独立後、病気やケガで仕事が出来なくなった場合、国民健康保険からは給付がありませんので、民間の医療保険で万が一のリスクに備えておく必要があります。

また、健康保険では、出産のために会社を休む場合に、一定期間、やはり収入の6割を支給してくれる「出産手当金」という給付もありますが、これも基本的に国民健康保険ではありません。

このように国民健康保険では、傷病手当金や出産手当金は「基本的には」ありませんが、国民健康保険の運営主体(保険者)は主に市町村ですので、市町村によっては独自にこれらの給付を行っている場合もあります。念のために自分の住んでいるところの役所に聞いて見ましょう。

また、会社に勤めていて傷病手当金や出産手当金を受給している最中に会社を退職した場合、健康保険の被保険者としての資格は喪失しますが、この場合は引き続き期間いっぱいまで受給することが出来ます。

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2004.10.13

健康保険と国民健康保険の共通点

健康保険と国民健康保険はどのような点で違いがあるのでしょうか?

まず一番利用頻度が多い医者にかかったときの費用の補てんですが、これは健康保険も国民健康保険も、7割の費用を見てもらえます。自己負担がどちらも3割ということですね。

以前は、健康保険の本人の自己負担が1割だったのが2割に引き上げられ、2003年4月から3割に引き上げられたため、今では本人分・家族分とも、基本的に3割負担です。

ですので、以前はサラリーマンとして健康保険に入っていることは国民健康保険よりもずっと有利であったため、独立開業する場合に家族が懸念する要因の1つでした。

あとでご説明いたしますが、医療保険は他にもいろんな給付があり、やはり健康保険のほうが有利な面はあるのですが、1番利用頻度の多い医者の費用の補てんが健康保険も国民健康保険も同じ3割というのは、かなり抵抗感がなくなるのではないでしょうか?

ちなみに、家族で3歳未満のお子さんの場合は自己負担が2割、70歳以上の場合は1割(一定以上の収入の場合2割・老人保健制度適用の場合も同じです)というのも、健康保険、国民健康保険共通です。

また、健康保険でも国民健康保険でも、出産したときの一時金30万円が出たり、医療費が高額になったときに自己負担が一定限度内になる高額療養費制度なども同じです。

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2004.10.10

独立後の健康保険は?

今回からは独立後の健康保険はどうなるかについてお話していきます。健康保険は、病気やケガなどで医者にかかったときに医療費の多くの部分を保険から支払ってくれています。他にも、出産したときにお金が出たり、死んだときに葬儀代が出たりもします。

医者に診てもらって、費用を支払いますが、通常は保険で多くの部分を支払ってくれた残りの差額を支払っているだけです。

例えば診療代が3,000円であれば、本来10,000円かかっていてそのうち7,000円は健康保険から支払ってくれています。

普段は当たり前のように差額だけ払うので健康保険のありがたみは分からないですが、海外で医者に診てもらってびっくりするほどの額を請求されたりすると、本来の医療費がいかに高いかが実感できます。

健康保険といっても、正確には、サラリーマンは「健康保険法」の被保険者で、個人事業者は「国民健康保険法」の被保険者です。

ですので、これ以後の言葉の定義ですが、「医療費などを払ってくれる公的な保険全般」という場合は「医療保険制度」という用語を使い、単に「健康保険」という場合は「健康保険法による、サラリーマンなどが加入する医療保険」という意味で使っていきます。

「厚生年金」と「健康保険」の加入はセットになっていて、どちらかだけ加入というのは通常ありません。サラリーマンやパートタイマーで労働時間が正社員の4分の3以上の場合などは、厚生年金に加入すると同時に健康保険にも加入しなければなりません。

これが個人事業者として独立すると、厚生年金から抜けて国民年金のみになると同時に、「健康保険」からも外れて、原則として「国民健康保険」に変わります。

では、「健康保険」と国民健康保険では、具体的にどのように違うのでしょうか?

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